シンプルな甘味処というだけののぼり

のぼりと甘味処というと、床机に座って、ぜんざい、あんみつというのを思い出します。

その昔、田舎でなくても、のんびりしていた頃、自然の風を楽しみながら、甘い物を楽しんだ、風流な甘味処には、目のない私と母でした。

私は、はいからにフルーツポンチを食べるのですが、母は、絶対に白玉団子が入っているメニューを選びます。

椅子ではなく、床机に座って、テラスでもゆっくり できるのですが、日よけ用の竹ののれんの裏で赤い生地に甘味処と書いた幟が揺れていたのが、とても幸せ気分でした。

甘味処ののぼりというのは、妙に穏やかで温かい思いを放つものです。目立ち、客を招くように、優しく、ふわふわと風に戯れている風景は、何とも言えない魅力を感じます。

それは、昔ながらの定番だからでしょう。今も、何のイラストも入っていない、シンプルな甘味処というだけののぼりを見かけると、昔と同じ思いが蘇り、優しさ やほんのりとしたぬくもりが、心に感じられます。

それが、市の中心地の、喧噪な道沿いの横のアーケードの続く、ショッピング街に合ったりするのですが、周りの雰囲気にイメージが壊されることなく、健在の甘味処です。

中は、喫茶店風ではあるのですが、そののぼりに誘われて、入ってしまう昭和の女の私です。

のぼりのある甘味処に入った

のぼりと甘味処といえば、先日、友人と二人で訪れたとある観光地を思い出しました。

小春日和の心地よい日ということもあって、老若男女問わず、さまざまな人が散策をしていました。

お昼ご飯を食べた後、世界遺産にも登録されている目的のお寺に行った後、周辺の川沿いの散歩道をそぞろ歩きした時のこと。

ひらひらと風になびくのぼりが真っ先に目に飛び込んできました。赤の地色においしそうな餡蜜の文字がありました。

お昼ご飯をいっぱい食べたはずなのに、それを見たとたんに急におなかが空いてきたのです。思わず友人と顔を見合わせてにっこり。別腹とはこのことか、と実感しました。

さてその後、その幟のある甘味処に入ったのは言わずもがな、なのですが、お店のメニューがまた心惹かれるものばかりで、餡蜜ばかりではなく、ぜんざいやみたらし団子までありました。

同じ悩むなら、おいしいものを選ぶ時の悩みって幸せです。

結局、友人と違うものを頼んで、半分ずつ分け合いました。自然と満面の笑みになってしまう甘いものっていいです。

改めて思うと、のぼり旗の効果ってすごいと思いました。けっこう遠くからでも目に入ってきたのです。

というよりも単なる食いしん坊とも言えるかもしれません。